最高出力128.7kw (175PS)/9,800rpm、最大トルク138Nm/7,000rpmを発揮する1,298cm3水冷直列4気筒DOHC16バルブエンジンは、振動を低減する一軸バランサーを装備する右サイドカムチェーンレイアウトを採用したコンパクトな設計。ボア81.0mm×ストローク63.0mmのロングストローク設定ながらバルブ挟み角を28度として燃焼室をコンパクト化することで、低回転域から高回転域まで素直で伸びのある高効率なエンジン特性を実現しています。さらに鍛造ピストンやアルミ製バルブスプリングリテーナーの採用に加え、スズキ独自のSCEM(SUZUKI Composite Electrochemical Material)メッキシリンダーを採用し、シリンダー自体の軽量化と優れた放熱性能を両立し、より高い信頼性を確保しています。さらに6速トランスミッションにはバック・トルク・リミッター機能を持つ大容量クラッチを採用し減速時の挙動を抑えています。

また、キャブレターには8つの回路を持つクランク・ポジション・センサを装備したフューエルインジェクションシステムを採用し、SRAD(Suzuki Ram Air Direct)による加圧効果、大容量のエアクリーナーボックスの採用、スパークプラグのキャップに個別の点火コイルが組み込んだ優れた点火システムと相まって、鋭いスロットルレスポンスを生み出すと同時に、SRAD(Suzuki Pulsed Air-injection)システムとキャタライザーの装備により、必要にして十分な環境性能を確保しています。

高剛性のアルミツインスパーフレームの前方にエンジンを搭載することでフロント荷重を高め、24.1度のキャスター角、1,485mmのホイールベースからなる軽快で接地感が高いハンドリングを実現しています。フロントフォークにはスプリング・イニシャル、圧伸減衰力調整が可能なφ43mmの倒立型フルアジャスタブルタイプを採用。リヤサスペンションにはスプリング・イニシャル、圧伸減衰力調整可能なリザーブタンク別体式のリンク式モノサスペンションにアルミ製スイングアームを組み合わせ、細やかなセッティングを可能にすると同時に、抜群の路面追従性能を誇ります。また前後のブレーキには、フロントにφ240mmダブルディスクにアルミピストン採用の6ポットキャリパーを、リヤにはφ240mmディスクに対向2ポットキャリパーを組み合わせ、高い制動力と扱いやすさの最高のバランスを実現しています。中空構造のアルミ鋳造ホイールの採用で軽量化が施されたタイヤには、フロントに120/70 ZR17、リヤに190/50 ZR17サイズのラジアルを配して軽快で、なおかつ安定感のあるハンドリングを確保しています。

デビューから8年を経た今でも新鮮さを失わない独特なシルエット、空力特性を徹底的に追及した結果から生み出された個性溢れるカウリングデザインがハヤブサの最大の魅力です。ヘッドライトは、ラムエアダクトの吸入面積を確保するため、上側にリフレクタータイプのロービーム、下側にプロジェクタータイプのハイビームという配置の縦置きデュアルタイプを採用。その左右に埋め込まれたウインカーとラムエア用の新気導入口を配し、ハヤブサだけが持つ孤高のフロントマスクを形成しています。燃料計や水温計を含める多機能液晶パネルを装備した超薄型のメーターパネルは、ハンドルポストの奥に位置し、メーター類すべてを、レスポンスに優れるステッピングモーター駆動としています。容量21Lのフューエルタンクは、シート付近を深くえぐることでライディングポジションの自由度を高めつつ、足着き性の良さも確保しています。また、ステップには防震ラバーを備え、シングルシートカバーと付け替え可能なタンデムシートは、内部に約4Lの小物入れを設けるなど、スポーツツアラーとしての最良の使い勝手を形にしています。