S-DMS(スズキ・ドライブ・モード・セレクター)
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スズキドライブモードセレクター(S-DMS)は、右ハンドルバーコントロールモジュールのスイッチにより、エンジン制御マップ(フューエルインジェクションと点火システムを制御)を3つの走行モードから任意のモードを選び、切り替えを可能とした。
エンジンの出力特性は選択したエンジン制御マップによって変更される。それぞれのマップは、さまざまなコンディションのデータなどをもとに開発され、マップ間の切り替えも瞬時に行える。
このシステムにより、高速クルージングと混雑路走行時で異なるマップを使用するなど、ライダーの好みに応じた走行モードを選択することが可能である。
選択されたマップはメーターパネル内に表示される。
Aモードは全てのスロットル開度域で最大の出力が得られる特性、Bモードはスロットル開度に対してリニアで、且つ、フラットなトルクとなる特性、Cモードは出力を下げ全てのスロットル開度でBモードよりもさらにソフトなスロットルレスポンスとしている。
※S-DMS(Suzuki Drive Mode Selector)を走行中に操作すると、エンジン速度とエンジンパワーの思わぬ変動の原因になることがあります。S-DMSを操作するときは車両を停止して行ってください。
※メーターパネルは機能説明のために、各ランプを点灯させたものです。実際の走行状態を示すものではありません。
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ピストン
さらに強度を高めたアルミ鍛造ピストンを1.4g軽量化し、ピストンピンの径を20mmから18mmとしたことで、慣性重量を大幅に低減。各ピストンのオイルコントロールリングには、真空チャンバー内で窒化クローム電気メッキを施すPVDシステムを使用したした。従来のクロームメッキに比べて、硬質でなめらかなこの窒化クロームPVDコーティングにより摩擦を抑えるとともに、シリンダーの密封性が向上。アッパーピストンリングはさらに断面をL字形とし、燃焼圧力によりリングをシリンダー壁へしっかりと押し付けることで、ブローバイガスを低減するとともに、ピストンを押し下げる力を高めている。 |
クロームモリブデン鋼コンロッド /
鍛造クランクシャフト
ピストンはサイドスカートをカットし、形状を変更。コンパクトな燃焼室とあいまって、圧縮比は前モデルの11.0:1から12.5:1と引き上げられた。クロームモリブデン鋼のコンロッドにはショットピーニングを施し、強度をさらに改善。また、鍛造クランクシャフトはストロークの変更に伴い、クランクピン位置をわずかに変更。このためにバランスを改めるなど、全面的な見直しを受けた。 |
SCEMシリンダー
各シリンダー下端には、従来の通気孔より大きなU字形孔を設けている。これによりピストン下降時にその下で圧縮された空気を、ピストン上昇中の隣のシリンダーへ、より速やかに逃がし、抵抗を抑えることを可能とした。さらにクランクケースブリーザーシステムにはリードバルブを採用し、エアボックス内の圧力波がクランクケースに及ぶのを防止。これら2つの発想により、クランクケース内のポンピングロスとメカニカルパワーロスを低減した。 |
チタンバルブ
バルブには従来のスチールバルブに代えてチタンバルブを採用。インテークバルブ1本につき14.1g、エキゾーストバルブ1本につき11.7gという大幅な軽量化を実現。この軽量化によって、バルブコントロールの精度を保ちつつ、バルブスプリングの軽量化とバルブリフトの拡大が可能となり、メカニカルロスを低減し、パワーは増加された。バルブ径は変わらず、インテークが33㎜、エキゾーストが27.5㎜、ステムは5㎜となっている。バルブ挟み角もやはり同じで、インテーク、エキゾーストともシリンダーセンターラインに対し14°となっている。
バルブのリフト量はインテーク側で従来の8.8mmから9.0mmに、エキゾースト側では同7.5mmから8.6mmとなった。インテークバルブは開き角度が上死点前43°、閉じ角は下死点後58°で、開閉角度は281°。エキゾーストバルブは開きが下死点前62°、閉じ上死点後24°で、開閉角度は266°。カムチェーンテンショナーは油圧式とし、メカニカルノイズを低減するとともに、バルブタイミング精度のオートマッチクな維持を可能とした。 |
イリジウムスパークプラグ
イグニッションコイルは4本のスパークプラグキャップに内蔵され、イリジウムスパークプラグを採用することで、さらに強力なスパークと100%に近い燃焼を実現している。イリジウムスパークプラグは従来品に比べ2倍の寿命。 |
冷却ファン
エンジンスペックの変更による発熱量の増加に対応するため、2008年モデルでは、幅と高さをそれぞれ380mmと222.6mmにリサイズした新型ラジエーターを採用。厚さを22mmとしたラジエーターコア内の冷却フィンをさらに薄くし、数を増やすことで密度を高めた。このように冷却表面積を拡大した、新しいコア構造により、その冷却能力は従来の28.1kWから29.9kWに増加した。また、ラジエーター後部に電動冷却ファンを1枚追加。2枚の冷却ファンはいずれも直径160mmで、各ブレード先端のリングを一体成形することでハウジングとブレードの隙間をなくし、気流を改善した。さらに従来のサーモスタット制御に代えて、シリンダーウォータージャケット内の冷却水温度にもとづき、ECM(エンジンコントロールモジュール)がその作動を制御する方式を採用。制御精度を高めるとともに、エンジンが持つ温度の一層の安定を確保した。さらに、オイルクーラーについても、10段の冷却フィンを採用することで放熱能力を7.52kWに改善した。 |
スズキ・デュアル・スロットル・バルブ(SDTV)
新しいハヤブサが搭載する、最新のフューエルインジェクションは32ビット、1,024KB のCPUを備えたECM(エンジンコントールモジュール)が制御をおこなう。
燃料を最適に霧化させる直径44mmのスズキデュアルスロットルバルブ(SDTV)スロットルボディを搭載。SDTVシステムは、各スロットルボディにバタフライバルブを2個装備。メインバルブは、ライダーがスロットルグリップの操作によりコントロール。また、サブバルブはECMが制御し、段階的に開閉。エンジン回転数、ギヤポジション、プライマリーバルブの開度に応じて最適な吸気速度を維持することで、シリンダー充填効率を高め、燃焼効率と低中速域トルクを増加したほか、スロットルレスポンスをよりリニアにした。 |
三角テーパー形状マフラー
4-into-2-into-1-into-2エキゾーストシステムにはO2センサーを搭載。このセンサーからのデータを利用してECMがシリンダーへの燃料噴射量を調節し、さらに燃焼効率を高めている。このほか大容量キャタライザーを装備することで、炭化水素、一酸化炭素、窒素酸化物の排出を削減し、厳格なユーロ3およびティア2排出ガス規制への適合を実現した。
エキゾースト・システムの後端に位置するテーパーをつけた2本の三角形大容量マフラーは、パワーの増強と排気音の低減を同時に実現すべく設計された。マフラーの形状は全体のスタイリングと見事なバランスを見せるだけでなく、実に機能的。前部をできるかぎり細くして後方上向きにテーパーをつけることで、バンク角とコーナリングクリアランスを拡大している。
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